サブ3、サブ3.5、サブ4――夢の達成は「タイムが出やすい」春の茨城へ

“かすマラ”攻略は、前半の走り方にあり!

3月・4月の春マラソンは、記録を狙うランナーにとってシーズンのラストチャンスでもあります。サブ3、サブ3.5、そして多くの市民ランナーがまず憧れるサブ4に向けて、夢をかなえる舞台はどこを選びますか?

何といってもオススメは、かすみがうらマラソンです。「上り坂がキツいんでしょ」「天気が荒れるって聞くしなあ」なんて、それは単なるイメージ先行(天気はその年によりますが)。2023年の大会MCを務めたアスリート芸人・M高史さん、フルの部を走ったゲストランナーの三津家貴也さんに聞いても、「“かすマラ”のコースはタイムが出やすいです!」と口をそろえるのですから間違いありません。

(写真説明57)レース終盤に見えてくる筑波山(写真奥)。2023年大会は曇りのち晴れ、時々雷雨という、春レースらしい目まぐるしい気象条件でした

では、かすみがうらマラソンはなぜタイムを出しやすく、攻略のポイントはどこにあるのでしょうか? 好記録へのキーワードは、これもM高史さん、三津家さんが口をそろえた次のひと言に尽きます。

「起伏のあるレース前半を力まず、リズム良く走ること!」

かすみがうらマラソンは、会場・土浦市川口運動公園をスタートし、ぐるりと時計回りに走って再び会場に戻ってくるコースですが、その大きな特徴は高低図を見れば一目瞭然、「前半はアップダウンがあり、霞ケ浦湖畔を走る後半はひたすらフラット」なところです。

フルマラソン成功への鉄則として、「前半は力を温存して淡々と走り、後半(30km以降)に勝負をかける」というものがあります。つまり、前半・後半のメリハリのある“かすマラ”のコースは、その鉄則を実行しやすいのです。
起伏のある前半でタイムを稼ごうとすると確実に「30kmの壁」に阻まれますが、前半をリラックスしてリズム良く乗り切れれば、後半はず~っとフラットなのでフィニッシュに向けて力を発揮しやすい。だからタイムを狙いやすい大会であり、目標達成のカギは前半の走り方にあるというわけなのです。

(写真説明03)JR土浦駅から徒歩5分とアクセスが抜群、スタートブロックにもサクッと並べてストレスを感じないのも“かすマラ”の魅力です


では、そのレース前半のポイントを3カ所、詳しく見ていきましょう。

スタート直後に跨線橋を渡った後、2km手前から高台へ上る長い坂が現れます。ここが第1のポイント。距離にして400mほど続き、心拍数もグッと上がります。

「“かすマラ”は上りがきつい」というのは、この坂のインパクトがあるからかもしれません。とはいえ、上りがあるということは、いずれ下りも現れるということ。ここは無理にストライドを広げてペースを維持しようとせず、ピッチ走法でコンパクトに上りましょう。

(写真説明05)スタートすぐに現れる長い上り坂。まだレース序盤、ウォームアップ気分で上りましょう

第2のポイントが、15km地点前後にある緩い下りと上りです。それぞれ300~400m続きますが、はじめの緩い下りで勢いをつけてしまうと、ペース感覚が狂い、その後の上りも勢いで駆け上がろうとしてしまいます。この周辺は田畑が並ぶのどかな風景ですから、のんびり景色を楽しむ気分で走りましょう。まだまだ、頑張る段階ではありません。


(写真説明15・19)15km手前の下り坂には菜の花がきれいに咲いていました。上り坂も景色を楽しみながら走りましょう

20km手前で軽い下り・上りがあり、いよいよ第3のポイントが、中間点過ぎにある500mほどの下り坂です。右手に広大な霞ヶ浦が姿を現すシーンは、“かすマラ”のハイライトの1つです。
とはいえ、ここで「序盤の坂のロスを取り返すぞ!」と飛ばし過ぎたり、逆にスピードがつくのが怖くてブレーキをかけたりすると、確実に脚にダメージを受けます。体の重心をやや前に、肩や腕の力を抜いてリラックスして下っていきましょう。

(写真説明28)長い下り坂で姿を現す霞ヶ浦に感動! ここまでくると「あと半分!」と気合が入ります

あとは勝負の後半戦、平坦な道をフィニッシュに向かうのみです。この時点で出がらしのお茶状態だと地獄の苦しみを味わいますが、この後も冷静に30kmまでコツコツ進めれば、残りもひたすらフラットですから必ず脚は動きます。

(写真説明32)後半は道が細くなります。道のヘリには凹凸があったりするので注意しましょう

では、「リズム良く」とはどんな走りでしょうか? それは、上りで力まず下りで飛ばさず、周りのランナーに惑わされず、1kmごとのペースに固執せず、自分のフォームや感覚を大切に走るということになるでしょう。アップダウンがあればペースが変わるのは必然ですから、時計も5kmごとにチェックしていくのがオススメです。

例えばサブ4狙いならば5km28分00秒~28分30秒の範囲で走るのが目安。特に長い上り坂のある最初の5kmは、29分近くかかってもOKくらいの余裕を持ってウォームアップのつもりで入ると、その後もスムーズに走れると思います。ハーフ通過時点で2時間ギリギリ、またはちょっと超えていても、30km以降で十分挽回できます。

「後半がフラットなら、前半に稼いでおいて後半粘ったほうがいいでしょ?」という意見もありますが、それは“ごじゃっぺ”認定です(笑)。脇目も振らずに走ってつぶれてしまっては、美しい風景や地元の方たちの温かみという“かすマラ”らしさを味わえずに終わってしまいます。

(写真12・37・39・49)

蓮田に囲まれた湖と対岸の牛久大仏。古代の貝の化石が露出したジオパーク。名物「おしるこ」や、お芋、おにぎり、梅干し、パン、レンコンの天ぷらなどのエイドの数々。38km過ぎに見えてくる麗しの名峰・筑波山。茨城弁の応援川柳は、苦しい時でも思わず笑ってしまうこと請け合い。
そして、何よりも「がんばれ~! あと少しだよ~!」と後押ししてくれる沿道からのたくさんの声援…。そうした魅力に目を向けられないなんて、もったいない!

(写真21・35・48・60)

たとえ脚が売り切れてしまっても、レースをエンジョイする方針に切り替えてゴールを目指せばOKなのです。なにせ、同時期に信州方面で行われるマラソンよりも制限時間は約1時間も長く、スタッフの皆さんも日が傾くまで温かく見守ってくれます。 そんな懐の深~い大会が、かすみがうらマラソン。皆さんも新緑の季節を楽しみに、さらには記録達成の夢の舞台として、ぜひ茨城にお越しください。
(プロフィール)
文・写真/高橋幸司
茨城県出身。ランニングマガジン・クリール元編集長。ランニング歴5年で、かすみがうらマラソンは2019、22、23年と3回参加。秋につくば、春にかすみがうらと、地元の2レースを走るのがライフワークになりつつある。フルマラソンの自己ベストは3時間59分54秒。

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