インタビュー

File No7.インタビュー連載 ガイドヘルパー・日立建機株式会社

2022.04.10

インタビュー連載 One Sky.~同じ光、風、思い。

かすみがうらマラソンには大会の成功を裏から支えるボランティアがたくさんいることを知っていますか?コース沿道の応援やエイド、障害者ランナーの目となる伴走者、ゴール後にコンディショニングをするなど、ボランティアはいつもランナーを笑顔で迎えています。本連載はインタビュー形式で、かすみがうらマラソンを支える人達の思いを探っていきます。


連載7回目は、「ガイドヘルパー」としてブラインドランナー(視覚障害者のランナー)を支える「日立建機株式会社」。土浦駅から宿泊施設や会場までの案内のほか、荷物の預かり、スタート地点への誘導、最後は土浦駅まで安全にお送りしています。「ブラインドランナーをただ誘導するだけではなく、街の風景や様子を伝えるなど土浦市、かすみがうら市に来たことが感じられるように誠心誠意サポートしています」と話す担当者。長年、ガイドヘルパーを務めている日立建機社員の松崎浩さんと藤田友子さんに大会当日のスケジュールやブラインドランナーへの接し方、やりがいを聞いた。

 

ガイドヘルパー・日立建機株式会社


 

大会のメインスポンサーを務める日立建機はいつからガイドヘルパーのボランティアを行っていますか。

「全国盲人マラソン大会」が併催された第5回大会(1995年)から、人の役に立ちたい思いやボランティアに興味がある社員が参加しています。第32回大会の今年は7人のブラインドランナーをサポートすることが決まりました。

―藤田さんは1996年から,松崎さんは2008年からと、長年にわたりガイドヘルパーをしていますが、大会のスケジュールはどういった内容ですか。

まず初めに、いつ何時の電車で会場に来るのかを確かめます。ブラインドランナーは大会前日に土浦駅まで電車で来ることが多いので、駅のホームでお迎えし、宿泊先のホテルまで一緒に歩いて案内します。チェックインや室内設備を説明したあと、私たちの特徴でありますが、希望するブラインドランナーと一緒に夕食を兼ねた懇親会を開催します。翌朝の大会当日はホテルから会場まで案内して伴走ランナーへ引き継ぎます。走っている間は、荷物をしっかりと管理し、ゴール地点でお迎えします。その後は記録証(点字付きの場合もあり)を取りに行ったり、表彰式の案内をしたりもします。最後は駅まで歩き、ホームで電車が出発するまで付き添います。盲導犬が一緒の場合でも対応できます。

 

―走ること以外のことを全てサポートしているということですね。前日に懇親会があるとお互いに距離が縮まってブラインドランナー側も安心できるかもしれません。

社内ではガイドヘルパーのマニュアルがあります。狭い場所の歩き方や声をかけるタイミング、段差と階段の違いなどたくさん。過去の経験談も踏まえて共有していますが、何が起こるか分からないので、しっかりとブラインドランナーとやりとりしながら対応しています。そのため、こういった話をするのにも、前日の懇親会は良いと感じています。食事を楽しんだり、過去の思い出話をしたりして、当日の負担にならないようみんなで楽しんでいます。

―どういった思いで接していますか。

「ランナーの目になったつもりで、今私が見えているものを伝えるようにしています。基本的にはランナーがしてほしいことや、自分の経験から出来ることを確認しあってから接するようにしています。一緒におみやげを選んだり、記念写真を撮ったり、出来る要望にはお応えしています」(松崎さん)。「余計な気を遣わなくていい。初めての時はマニュアル通りに接しなければいけないと力が入ってしまいましたが、ブラインドランナーから「普通でいいです」と言ってもらい、力を抜いてサポートしています。また、街の風景や様子を伝えるなど土浦市、かすみがうら市に来たことが感じられるように声かけをしています」(藤田さん)。

 

―長年続けていられるやりがいは何でしょうか。

ブラインドランナーとは大会が終わっても交流が続いています。私たちは「かすみがうらマラソン支援隊」を結成して、旅行がてら山梨県のブラインドランナーの皆さんの元を尋ねて、一緒にトレーニングをしました。近況報告の手紙が届いたり、茨城で大きな地震が発生した時には、無事を心配する電話をしてくださる人もいました。「常連のブラインドランナーは土浦駅から会場までの経路に、どんな店やビルがあるかを記憶していて、ご自身の好きな飲み物をコンビニの店頭で販売されていることも、見えているかのように教えてくれます。私たちも良い時間を過ごさせていただいていますし、自分で良ければ誰かの力に立ちたい。その思いです」(松崎さん)。「“かすみがうらマラソンは一人でも安心して来られる”“いろいろと親身になってお世話いただきありがたい”といった感謝の言葉がうれしいです。帰りに土浦駅で電車に乗り込み、お別れする際に“また来年きてくださいね、待っていますよ”と声をかけます。すると約束通りに来てくださった時はとてもうれしいですし、約束してしまったので、いつまでも辞められないですね」(藤田さん)。

―ランナーに向けてエールをお願いします。

「担当のランナーが走っている間の荷物番はしっかりと行うので、楽しんで走ってください」(松崎さん)。「日頃の練習の成果を十分に発揮して、かすみがうらマラソンを思う存分に楽しんでください」(藤田さん)。

 

Partner

日立建機
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中川ヒューム管工業㈱ 三菱商事